先物取引というと、灯油だけでなく、数限りない市場があります。金・白銀・証券・原油や石油、穀物(大豆やとうもろこし)などなど。こうした多彩さと、リスクの高さ、一部の不正な勧誘行為などによって、リスクの大きい投機・ギャンブルに近い投資ではないか、と思われている部分もあります。
これは、先物取引のオプションの数、チャートの見方、シカゴなど少数の情報の重視、用語の難しさ、錯綜する相場情報などが原因になっていると思われます。
しかしながら、そもそもの先物取引は、投資というよりも、リスクヘッジという部分が強いことを考えると、これらは皮肉な現象と言えるでしょう。
なぜ、先物取引がリスクヘッジなのか? たとえば、灯油。ここに、灯油を製品の生産(たとえば工場を稼動させるなど)に仕入れなければならない会社があるとします。そうしたときに、灯油(ガソリンなどと同様、原油に関連して価格が上下する)の値段の動きで仕入れ値が上下しては、安定した経営ができません。そこで、灯油を先物取引市場でやりとりすることで、仕入れ値を一定に保ち、リスクヘッジをするわけです。
さて、灯油は、在庫量・需要・外交・国際情勢・事件・景気などによって価格が左右されます。たとえば、灯油が夏に安くて冬に高い、というのは理解しやすいです。一方で、灯油の価格は原油価格に左右されます、そしてこの原油価格が、需要や生産高・国際情勢だけでなく、金余りでそのお金が原油市場に流れ込んだ結果跳ね上がるなどと複合的な要因で変化します。
灯油を仕入れて製品を生産する工場などでは、先物取引市場を利用して、灯油の値段を一定にしないと、コストが管理できません。
そこで、たとえば、1000キロリットルの灯油が必要だとします。
現在の市場価格が1000キロリットル7000万円だとします。灯油価格の市場は、上昇しそうですが、下落しそうでもあります。とにかく、一定金額で灯油を仕入れることができれば、コストが確定し、利益を出す営業が可能となるとします。
そこで、1000キロリットル分の灯油を先物取引市場で購入します。(先物なので、必要な金額は700万円とします)
そこで、1000キロリットルの価格が8000万円に値上がりしたとします。もちろん、実際に灯油は必要なので、灯油の取引を裁定し、利益を確定し、8000万円の現金で、現物の灯油を8000万円で購入します。
差し引きで、1000キロの灯油が7000万円で買えたことになります。
さて、もしも灯油の値段が1000キロリットルが6000万円まで下落したとします。これも取引を終え、6000万円の現金を得、灯油の現物を1000キロリットル、6000万円で購入します。
ここでも、差し引きで、1000キロリットルの灯油が7000万円で購入できたことになります。
つまり、毎年同じ価格で仕入れができるよう、リスクをヘッジする、というのが本来の先物取引市場の役割なわけです。
これは、穀物を売るときに、一定の金額で売ってリスクを避けたい農家や、穀物を加工する企業が、一定の金額で仕入れてリスクを避けたいという場合にも当てはまります。
そういう意味で、灯油に限らず、先物取引市場で利益を上げようとするのは、初心者には難しく、電話勧誘などでは絶対に実行したくはないですね。
■参考サイト
http://www.futures-s.com/kerosene/index.html